2003年08月のひとりごと


Columntakabayashi


シリーズ 建築設計事務所


今日から、シリーズで設計事務所が仕事依頼を受け、竣工するまでの各ポイントにおける当設計事務所の考え方、接し方及び建築主側の留意点を気付くままに述べたい。
このシリーズ内容に関して、御質問、意見のある方は下記 Eメールに連絡ください。可能な範囲でお答えいたします。

Eメール: tamot@k8.dion.ne.jp


(今回の主旨)
私自身、大学卒業時に設計事務所なるものは、どのような仕事の仕方をし、営業収入はどの程度で、将来どのような可能性があるのかほとんど知らなかった。一般の方も建築設計事務所はほとんど無縁のものであり、わかりにくい存在であると思う。ここで、私自身が理解している範囲で難しく、詳しい書き方ではなく知人から聞かれたときに答える内容で述べてみたい。建設会社の設計で16年、個人建築事務所として15年も経ちましたが、うまく理解していただけるように書けるかどうかわかりませんがとにかく書いてみます。このことが発展し、建築設計事務所が有効に利用されることを祈りながら。

内容は、主に住宅、医院に絞り各ポイント、20ポイント程度の時点での事に関して、なるべく簡略に書く予定。

では、その第一弾

● その1:建築設計事務所とは ●

(一級、二級建築士事務所の説明)

一級建築士事務所: 一級建築士の資格を持つ設計者が管理建築士の事務所。管理建築士が一級であれば所長は資格がなくても建築設計事務所を設立できる。どんな建築物も設計できる。

二級建築士事務所: 二級建築士の資格を持つ設計者が管理建築士の事務所。木造住宅程度の設計ができる。


(仕事内容による区分け)

一級建築士事務所といっても、仕事内容で意匠、構造、設備と大きく分かれる。意匠専門の事務所もあれば大規模な建築事務所では意匠、構造、設備スタッフを全てを揃える事務所もある。ちなみに私の事務所は意匠専門である。

意匠とは、総まとめ役とデザイン。構造とは名前の通り構造設計。設備設計とは給水、排水等に関する衛生設備設計、電気関係、照明器具等の電気設計、エアコンや換気扇関係の空調設計の総称である。基本的には、どんな仕事も意匠設計士、構造設計士、設備設計士の3者が協力して一つの建築物を設計する。

建築主が依頼し打ち合わせを行うのは意匠設計士のみで、構造設計士、設備設計士と打ち合わせることはほとんどない。構造や設備の事も意匠設計士が構造、設備に相談し、その内容を踏まえ建築主に説明する。又、私の事務所のように意匠専門の設計事務所の場合は構造を構造設計事務所に、設備を設備設計事務所に設計依頼する。建築主と意匠建築設計事務所との設計契約であれば、構造、設備を含め契約した意匠建築設計事務所が全て責任を持つ。

専門分化が進み、鉄筋コンクリート造、鉄骨造は、意匠は意匠設計のみ、構造は構造設計のみ、設備は設備設計のみが一般的であるが、木造に関しては相当詳しい専門知識は不要なので意匠設計士が全ての設計を行うことが多い。


(建築設計事務所の実態)

規模: 一人事務所が相当多く、100人もいれば大事務所である。有名な事務所は10人〜30人程度でないかと思う。

仕事実態: 建築主から直接仕事受注できる事務所もあれば、建設会社、住宅メーカーの下請け設計が主体の事務所、製図が主な仕事の事務所、確認申請(役所提出書類、図面作成)のみの事務所までさまざまである。

住宅の設計料: 設計(意匠、構造、設備)、工事監理を含めると、工事契約金額の3%〜25%程度まで設計料はまちまちであるが、10%程度が一般的と思う。自分の目で確かめたい方は住宅雑誌に数社の設計事務所の設計料が書いてあるのを参考にすればよい。15%以上設計料を取る事務所は世間で言う有名設計事務所がほとんど。原則的に自由に設計料を決められるので、例えば3%と10%の仕事内容の違いは不明である。当事務所の場合は、設計契約書に大まかな仕事内容は書いてはある。建築主にとっては、その費用でどこまで仕事をしてくれるのかある程度知った方が良いが、後の細かい内容はその設計者の人物評価をし、信じるしかないのが実状か。

医院の設計料: 設計料は規模により変動するのが一般的と思う。私の場合は住宅とほぼ同じ程度になる場合が多い。

仕事内容: 同じ設計料でも、設計事務所により仕事の内容はまちまちである。簡単な図面を数枚書き後は施工会社に任せる事務所もあれば、詳細な図面まで書き、きちんと現場監理する事務所もある。何とも納得のいかない説明であるが、現実である。
実際に住宅程度であれば、1/100の簡単な平面図、立面図と断面図があれば建物は実際建つ。グレードの低い設計者の設計で現場監理ができないのであれば、施工会社が優秀であれば施工会社に任せた方が良い場合もあるからややこしい。一級建築士の資格を持っていても他の業種と同じようにグレードの低い設計者も存在する。
建築設計事務所は主に建築設計の仕事を行うが、他に建築に関係するコンサルタントや調査、企画立案等も行うところもある。例えば当事務所ではコンサルタントはもとより、某住宅メーカーの営業社員向けの試験問題作成や、材料の比較調査レポート作成も興味があるので受注している。


(設計事務所への仕事依頼)

一般的に、建物に対する興味がほとんどなく平均的?な建物で良ければ、住宅メーカーに依頼するのが良いかも知れない。イメージ範囲のある建物であるが、パンフレット、展示場で確認できるし工事金額もわかりやすい。営業担当者、設計者は一般的に若く頼りない場合も多いが、システムで造られる商品なので余り問題はないと思う。但し、中堅以上の名前の知れた住宅メーカーでの話として理解してほしい。仕上げ材は一般的には2,3種類の中から選ぶようになるが仕方がない。もちろん工務店や建設会社に直接依頼する方法もある。

設計事務所に依頼する場合は、一般的には、デザインの良い建物、こだわりの建物、おもしろい建物、相当高度で難しい建物、思い入れの希望を組み込みたい、設計のプロセスを楽しみたい、住宅、医院に対する希望が明確にある、しっかりした現場監理を期待したい等々の場合と思う。



(その1)はこれで終了。簡略に書く予定が長文になってしまいました。一般的な人が知りたい内容が書けた自信はありませんが、書きながらまとめていますのでこの程度でご勘弁ください。

次回(その2)予定: 建築設計事務所の選定と依頼の仕方、仕事内容確認事項について


[2003.08.04]


CONTENTSへ