2003年03月のひとりごと


Columntakabayashi


ポルトガルの石の家


 初めてこの写真を見たとき、しばらく時の立つのを忘れました。家って固苦しく考えることはないのですね。
しかし、この家が建った背景やその後の歴史を考えてしまいます。つくづく人間って創造的だなと思いつつ、机の前に貼ってあるこの写真を今日も眺めています。


[2003.03.03]




住宅設計と心理学


 心理学は日本人には馴染みにくかったせいか、私が学生時代には「建築と心理学の関係」を説く授業はなかった。私は、20〜30代の頃、設計は、建物全体の形から考え始めることが多かった。この頃は随分と変わってきた。「建物は人のために、必要性によって建てられるものである」、との思いが強くなった。その人のために必要のない建物は、その人にとっては単なる箱でしかない。相当な金額を費やして造った住宅は、そこに住む人々全員を幸せにするものでなければ意味がない。

 人はたとえ家族であっても、幸せの感じ方はそれぞれに違う。しかし、全員にとって共通の幸せのための要素もある。例えば、子供のいる夫婦と妻または夫の両親の2世帯住宅を考えてみよう。日頃はとても親しく暮らしていても、お互いに見られたくない場面が時にはある。誰かが着替えをしているかもしれない、少々だらしない格好でくつろいでいるかもしれない。そんな時、ドアの開け閉めや階段を下りる音で、誰かこちらへ来ることが事前に分かれば、誰にもそんな場面を見せずに済む。例えば、階段の位置を工夫したり、ドアを2枚つけたりして設計的に解決できる。

 人は一人では生きられない。人は他人がいてこそ自分を認識できる。人と人との関わりは大切である。社会の最小単位である家族関係を良好に保つこと、これは重要である。そのために設計士ができることもあるはずだ。同じ問題に対してその解決策は個人により、また家族によりそれぞれにことなるのでケースバイケースで対処し調整するのも一つの設計手法である。設計士には心理学は必要であり、多くの経験を積み人格豊かである必要がある。

 一般的に安らぎの空間である住宅は、心理学的に形や色、動線をどのようにデザインするかは重要なことであるが、更に、家族や家族と近隣との良好な関わりに幾らかでも貢献できれば素晴らしい。


[2003.03.01]


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